さて今回は、アドセンスからリリースされている機能『自動広告』をテストしてみました。
『自動広告』とは、サイト内の最適な場所に最適な広告を自動的に表示してくれる機能のこと。
つまりアドセンス側に完全おまかせで、自分のサイトやブログに広告を貼ってもらえるってことです。
今回は、このアドセンスの自動広告をわたしが運営する3つのサイトに設定し
収益が改善するかどうかをテストしてみました。
自動広告で収益が2.7倍に改善!
結論からいうと、ほとんどの場合アドセンスの『自動広告』で収益は大きく改善します!
ほとんどの場合…と書いたのは
たぶん導入するサイトによって効果が大きく変わってくると思うんですよね。自動広告って。
今回のテストでも、導入した3つのサイトの効果には大きな差が出ていました。
下記の通り、もっとも改善率が高いサイトで1PVあたりの収益金額が272%改善、
もっとも改善率が低いサイトでは125%の改善でした。
- サイトA マクサン:272%
- サイトB 育児系:132%
- サイトC 金融系:125%
まぁ272%ってちょっと異常値だと思いますし(※理由は後述)
もともと大量に広告を貼り付けていたサイトの場合は改善しないか
逆に悪化することもあり得ます。
ただふつうに運営しているほとんどのサイトは収益が改善すると思いますので、
ぜひみなさんも今すぐ自動広告を導入してみてください。
2020年5月6日追記:
自動広告はGoogleアドセンスの収益自体は改善しますが、広告過多になってユーザー体験を阻害する可能性があります。僕も「ちょっと広告多いよなぁ。。ASPアフィリエイトの収益を逆にジャマしちゃうなぁ。。」と感じたので、現時点では自動広告を停止しています。各自ご自身のサイトの状況などに応じてご判断ください。
…と、この記事で書きたかったことは以上なので
結果だけ知りたかった方はここらへんで解散で大丈夫っす!お疲れさまでした!
以降はちょっとマニアックな話も混じってきますので
知的好奇心が旺盛なかたは続きをお読みください。
自動広告のテスト結果詳細
まず、今回のテスト結果の詳細をご覧ください。
アドセンスのデータは利用規約上そのまま公開できませんので
それぞれの項目がどのくらい改善したか?を記載しています。
項目 | サイトA (マクサン) | サイトB (育児系) | サイトC (金融系) |
---|---|---|---|
広告表示 (imp) | 227% | 99% | 120% |
クリック数 | 214% | 143% | 146% |
CTR | 94% | 145% | 122% |
1pvあたり収益 | 272% | 132% | 125% |
1impあたり収益 | 124% | 130% | 97% |
1クリックあたり収益 | 132% | 90% | 80% |
視認可能率 | 108% | 98% | 108% |
直帰率 | 101% | 100% | 100% |
平均滞在時間 | 92% | 97% | 96% |
1来往あたりPV数 | 98% | 100% | 98% |
CMS | WordPress | WordPress | 無料ブログ |
※自動広告導入後2018年の3/2〜3/15、導入前2/16〜3/1でそれぞれの値を比較しています。
※同一期間のスプリットテストではなく導入前後2週間の別期間での比較です。
※それぞれPV数が前後両期間で同一になるように割り戻してから改善率を算出しています。
これだけだと、広告にくわしくないひとは「なんのこっちゃ?」だと思いますので…
つぎの章でくわしく解説しますね。
なぜ自動広告で収益は増えるのか?
この章では、前述のテスト結果についてそれぞれの項目をくわしく解説するとともに、
なぜ自動広告によってアドセンスの収益が改善するのかを考察してみたいと思います。
広告表示
「広告表示」とは、アドセンスの広告が何回表示されたかを示す数値です。
広告用語ではimp(インプ、インプレッション)ともいいます。
この比較表では自動広告の導入前後でPVが同一になるように割り戻してから計算していますので
ここに記載されている改善率は、自動広告の導入によってどのくらい広告表示が増えたのかを純粋に表しています。
つまり、サイトBはほぼ広告表示数に変化はなかったものの
サイトA・Cではそれぞれ広告が表示される回数が増えたので、その分だけ収益が改善したと言えるでしょう。
広告表示が増えたのは
自動広告によってアドセンス広告が貼られる場所が増えたことが要因なのです。
クリック数
「クリック数」とは広告がクリックされた回数のことです。
自動広告の導入によって、前述の広告表示が増えたのであれば、それに比例して広告のクリック数も増えるはずですよね。
テスト結果を見ると、基本的には
広告表示数が増えるに従ってクリック数も増えていることがわかると思います。
しかし完全な比例関係ではないのはなぜでしょうね?
これについて次のCTRが関係してきます。
CTR
CTR(クリック・スルー・レイト)とはクリック率のことです。
広告の表示に対して、どれだけその広告がクリックされたかの率を意味しています。
テスト結果を見ると、CTRがやや悪化しているサイトがあるものの
基本的には自動広告の導入によってCTRは改善しているので
これが収益性の改善につながっていることは間違いありません。
これは自動広告によって、適切な場所に適切な広告が配置されることで
よりクリックがされやすい状態になったからだと思われます。
1PVあたり収益
「1PVあたり収益」とは、サイト1PVあたりに発生する収益金額を意味しています。
PVの増減にかかわらず
そのサイトの収益性がどう変化したのか?を明確に表す指標です。
今回のテストでもっとも注目すべき項目ですね。
テスト結果ではサイトA(マクサン)が272%と大幅改善となっております。
ただしこれは同時期におなじアドセンスの「リンクユニット(リンク広告)」を導入したためで、
その変更による改善効果がプラスされているため、このような値が出ているものと思われます。
(※リンクユニットは2/20導入、自動広告は3/2導入)
リンクユニットを導入していない他の2サイトがどちらも約130%の改善率なので
一般的なサイト/ブログにおいては自動広告を導入することで
+30%程度の収益改善が見込めるものと思います。
さらにリンクユニットも導入すれば、収益が2倍〜3倍になる可能性も秘めているということですね。
アドセンスのリンクユニット導入については下記の記事にくわしくまとめています。
2020年5月6日追記:
直近ではリンクユニット自体の効果はかなり悪くなったので、マクサンでは推奨していません。広告タイプはすべてレスポンシブにしておくことを推奨します。
1impあたり収益
「1impあたり収益」とは、広告表示1回(1インプレッション)あたりの収益金額のことです。
自動広告を導入すると表示回数の母数が増加するので、1imp収益はあまり気にしなくてOKです。
1クリックあたり収益
「1クリックあたり収益」とは、文字通り広告1クリックあたりの収益金額のことです。
今回のテストでは2つのサイトで1クリックあたり収益が悪化しておりますが、
結果的に、もっとも重要な指標である1PV収益が改善しているので問題ありません。
視認可能率
正確には「アクティブビュー 視認可能率」といいます。
意味としては、表示された広告のうち実際にユーザーに見られた広告の割合のことです。
(※広告の一部分しか表示されなかったり、ページの下部に広告があったり、広告が完全に読み込まれる前にページをスクロールされたりすると視認可能率が下がります)
今回のテストでは、2つのサイトで視認可能率がやや改善しているので、
自動広告の導入によって見やすい場所に広告が貼られるようになったという効果もありそうです。
直帰率
「直帰率」とは1ページだけを見てサイトから離脱してしまうユーザーの割合のことです。
サイト内に広告が増えることで直帰率が上がってしまう可能性もあると考えましたが、ここは変化なしでした。
ただし、今回おこなったテストではユーザーへの印象の悪化を防ぐために
「アンカー広告」(スクロールしても追いかけてくる画面下部に表示される広告)や
「モバイル全画面広告」(ページ遷移した際などにスマホ画面いっぱいに表示される広告)の2種については
はじめから表示をさせない設定にしていました。
この2つについては他の広告とくらべても著しくユーザーへの印象が悪い(つまりウザい)ので、
アンカー広告とモバイル全画面広告を導入する場合について、直帰率の低下に要注意です。
(というか絶対におすすめしません)
平均滞在時間
「平均滞在時間」とは、ユーザー1人あたりのサイト滞在時間のことです。
こちらは(微少ではあるものの)すべてのサイトで悪化が見られました。
広告が増えクリックが増えることで
サイトからの離脱が若干早まる(滞在時間が短くなる)というデメリットがあるようですね。
1来訪あたりPV数
「1来訪あたりPV数」とは、簡単にいうとユーザー1人あたり何ページ見てくれるか?の指標のことです。
いわゆる「サイト回遊」がうまくいっているサイトだとこの値が大きくなり、回遊されずに離脱が多くなると値が小さくなります。
今回のテストではほとんど変わらなかったので、回遊に影響はありませんでした。
CMS
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは、
ブログやアフィリエイトサイトのようなWebサイトを管理/更新できるサービスのこと。
無料ブログやWordPressもCMSです。
今回のテストではWordPressでも無料ブログでも
同じように自動広告によって収益性が改善しました。
ただし、無料ブログでは入れられる広告の種類・場所・本数に制限があるものがほとんどなので、
自動広告を導入する際には注意が必要ですね。
自動広告のメリット/デメリット
ここまでの内容をふまえて、アドセンス自動広告を導入するメリット/デメリットをまとめてみました。
- 広告が増えて広告表示回数が増える
- 自動的に良い場所に広告が貼られる
- クリックされやすい広告が貼られる
- 結果、収益性が改善する
- WordPressも無料ブログも改善する
- 機械学習が進むとさらに効果がよくなる(はず)
- 広告が増えるとウザい印象になる
- サイト滞在時間がやや悪化する
- 直帰率・回遊率も悪化するかも
- PV減や他の広告収益が減る可能性も
結論としてはデメリットをカバーして余りあるメリット(収益改善効果)があるので、
まだ自動広告を導入していないひとは、すぐにでも導入することをおすすめいたします。
すでにアドセンス広告をべちゃべちゃ貼りまくっているサイトでなければ
ほとんどの場合で収益が改善すると思います。
注意したいのが、自動広告を導入すると広告数が増えるのでユーザーへの印象が悪くなり、
多少なりともサイト離脱が促進されてしまうということ。
今回のテストではそれほどマイナス面は見つかりませんでしたが、
広告を増やすという施策は、あくまで“諸刃の剣”なんだということを忘れてはいけませんね。
少なくとも「アンカー広告」「モバイル全画面広告」だけは避けていただきたいと思います。
2020年5月6日追記:
繰り返しにはなりますが、自動広告はGoogleアドセンスの収益自体は改善しますが、広告過多になってユーザー体験を阻害する可能性があります。ASPアフィリエイトを狙っている記事などでは逆に収益を阻害する可能性もあります。僕も現時点では自動広告を停止しています。各自ご自身のサイトの状況などに応じてご判断ください。
自動広告の設定方法
最後に「自動広告」の設定方法を記載しておきましょう。
このへんは他のサイトでもくわしく説明されているものが多いので軽めにね。
アドセンスの管理画面
アドセンスの管理画面を開き、「ホーム」のメニュー(画面左上のサンドウィッチメニュー) > 「広告の設定」 > 「自動広告」 と進みます。
「全般設定」のページで自動広告を表示させる広告の種類を有効/無効で選択します。
有効にしたいものはオン(青色)、無効にしたいものはオフ(グレー)にしてください。
おすすめの設定は下記の通りです。
おすすめの設定
- テキスト広告とディスプレイ広告 →ON
- インフィード広告 →ON
- 記事内広告 →ON
- 関連コンテンツ →ON
- アンカー広告 →OFF
- モバイル全画面広告 →OFF
広告コードをサイトに貼る
管理画面の右上にある「自動広告を設定」 をクリックすると
コードスニペットが出てくるのでコピーします。
この広告コードをサイトの<head>タグ内に貼り付けます。
<head>タグ内に広告コードを記載するには、Word Pressであれば「Ad Code To Head」などのプラグインを使うと便利です。
無料ブログの場合は、サービスによって設定方法が違いますので調べてみてください。
以上で自動広告の設定は完了です。
コメント