YMYLとは何か? YMYLがブログやアフィリエイトにどんな影響を与えるか?
具体的にどんなジャンルがYMYLに該当するか?などを、Google「検索品質評価ガイドライン」の日本語訳を紹介しつつ解説します。
さらに、無意識にやってしまいがちなYMYLの事例や、YMYL対策なども紹介しています。
YMYLとは?基本情報
YMYLとはYour Money Your Lifeの略で、Googleの造語です。
日本語に訳すと「あなたのお金や生活に重大な影響を及ぼす情報領域」という感じでしょうか。
具体的にはお金・健康・医療・法律…などなど、人々の生活の安定・安全に深刻な影響をあたえるジャンルです。
YMYLジャンルは品質評価が厳しい!
YMYLジャンルには、それ以外のジャンルよりもとくに情報品質の高さやE-A-T(専門性・権威性・信頼性)が求められます。
YMYL以外のジャンルが品質を求められないということではありません。YMYLはとくに厳しい評価基準がありますよということです。
たとえば…
- 誰がそれを書いたのか?
- それは社会的にどんな評価を受けている人か?
- 匿名の個人なのか?
- それとも社会的責任をもって活動している実績のある組織(企業など)なのか?
- その情報に明確なエビデンスは存在するか?
- 正しい一次情報を発信しているか?
…などについてを、YMYLジャンルではとくに厳しく評価されるのですね。
YMYLでブログやアフィリエイトは難しい!
YMYLジャンルでは、個人が運営するようなブログやアフィリエイトサイトは相当に不利な状況になっています。
やってみればわかりますが、YMYL系のキーワードで個人メディアが上位掲載を狙うのは、現時点ではほぼ不可能。
どんなにドメインが強いサイトであっても、YMYLだけは「まったく別のフィルター」がかかってしまっているのです。
もちろん「個人はすべてNG、法人ならなんでもOK」という単純なものではありませんが、
法人は一般的にさまざまな公的手続きをおこなったうえで作られ、社会的に明確な経済活動をおこなっている組織ですから、
どこの馬の骨ともわからない匿名の個人よりも、信頼性の評価が高まるのは当然ですよね。
なので個人で運営するようなブログやアフィリエイトサイトでYMYLジャンルを攻略するのは「無謀」と言わざるをえません。
100%無理とは言えないまでも、YMYLジャンルで収益を上げるにはかなりの労力と時間が必要で、
めちゃくちゃコストパフォーマンスが悪く、実りの薄い挑戦なのです。
筆者のYMYLアップデートの事例!
YMYLジャンルでは、過去に検索1位をとっていたような(内容としては)質の高いページであったとしても、
低品質と評価されてしまった場合には検索順位が大幅に下落する(場合によっては圏外に飛ばされてしまう)などの悪影響が発生します。
実際に筆者自身も健康・美容のジャンルが1ページ目から5ページ目以降に飛ばされてしまうなど、数百万円規模の大打撃を受けました…。
上記は筆者が運営するあるブログのある記事におけるサーチコンソールのレポートです。
もともとは恒常的に1位表示ができており、月に7桁(100万円)を超える収益が発生していましたが、
YMYLに関連するアップデートにより大きく順位が下落、ほぼ収益が発生しなくなりました。
YMYLは検索ユーザーにとって有益?
ただ、真剣に悩んだり苦しんだりしている検索ユーザーの立場にたって考えれば、これはとても良い改善と言えるのではないでしょうか?
だって、自分自身の病気や大切な資産に関するアドバイスを、広告収益目的の素人から聞きたいとはあなたも思わないですよね?
YMYL判別の精度が低いうちはなかなか納得できない不可解な検索結果が発生するとは思いますが、どんどん精度は高まってくるはずですし、
正しい情報を信頼のおける発信者から得たいというのは、検索ユーザーの総意なのです。
YMYLとは具体的にどんなジャンル?
では、YMYLとは具体的にどんなジャンル・情報領域を指すのでしょうか?
YMYLを理解するためには、Googleが公表する「検索品質評価ガイドライン」に何が書かれているかを確認するのがもっとも手っ取り早いです。
ガイドラインには、おおまかに下記のような情報領域がYMYLにあたると明記されています。
- ニュース・重大イベント
- 政治・公的機関・社会サービス
- 資産・決済・住居・教育・職業
- 健康・医療・薬・病気・症状
- 栄養・美容・フィットネス・防災
- 人種・民族・宗教・障害・ジェンダー
よりくわしく理解するために、ガイドラインの原文になにが書いてあるかを記載しておきましょう。
Google「検索品質評価ガイドライン」から読み取るYMYL
下記が実際の「検索品質評価ガイドライン」のなかのYMYLについての記載です。
全文英語ですが、続いて日本語訳をつけていますので、飛ばしていただいても結構です。
2.3 Your Money or Your Life (YMYL) Pages
Some types of pages or topics could potentially impact a person’s future happiness, health, financial stability, or safety. We call such pages “Your Money or Your Life” pages, or YMYL. The following are examples of YMYL topics:
● News and current events: news about important topics such as international events, business, politics, science, technology, etc. Keep in mind that not all news articles are necessarily considered YMYL (e.g., sports,
entertainment, and everyday lifestyle topics are generally not YMYL). Please use your judgment and knowledge of your locale.
● Civics, government, and law: information important to maintaining an informed citizenry, such as information about voting, government agencies, public institutions, social services, and legal issues (e.g., divorce, child custody, adoption, creating a will, etc.).
● Finance: financial advice or information regarding investments, taxes, retirement planning, loans, banking, or insurance, particularly webpages that allow people to make purchases or transfer money online.
● Shopping: information about or services related to research or purchase of goods/services, particularly
webpages that allow people to make purchases online.
● Health and safety: advice or information about medical issues, drugs, hospitals, emergency preparedness, how dangerous an activity is, etc.
● Groups of people: information about or claims related to groups of people, including but not limited to those grouped on the basis of race or ethnic origin, religion, disability, age, nationality, veteran status, sexual orientation, gender or gender identity.
● Other: there are many other topics related to big decisions or important aspects of people’s lives which thus may be considered YMYL, such as fitness and nutrition, housing information, choosing a college, finding a job, etc. Please use your judgment.
We have very high Page Quality rating standards for YMYL pages because low quality YMYL pages could potentially negatively impact a person’s happiness, health, financial stability, or safety.
引用:General Guidelines (Google Search Quality Rating Guidelines)
これを日本語に訳したもの(Google翻訳をベースに筆者が手を加えたもの)が下記です。
Your Money or Your Life(YMYL)ページ
一部のタイプのページまたは話題は、個人の将来の幸福・健康・経済の安定性と安全性に潜在的に影響を与える可能性があります。このようなページを「Your Money or Your Life」、またはYMYLと呼びます。以下はYMYL領域の例です。
●ニュースとイベント:
国際イベント・ビジネス・政治・科学などの重要なトピックに関するニュース。すべてのニュース記事が必ずしもYMYLと見なされるわけではないことに注意してください(例:スポーツ、エンターテインメント、および日常のライフスタイルの話題は一般的にYMYLではありません)。あなたの国・地域における判断と知識を活用しましょう。
●市民・政府・法律:
市民生活を維持するために重要な情報。投票・政府機関・公的機関・社会サービス・法的問題(離婚や子供の監護、養子縁組、遺言の作成など)。
●財務:
投資・税金・退職金の計画・ローン・銀行・保険など。特に人々がオンラインで購入したりお金を送金したりできるようなWebページ。
●ショッピング:
特に商品やサービスの調査や購入に関する情報やサービス。人々がオンラインで購入できるようなWebページ。
●健康・安全:
医学的な問題・薬物・病院・緊急時の備え(防災)や方法についてのアドバイスまたは情報。危険な活動など。
●特定の集団:
人々のグループ・特定の集団に関する情報または主張。人種・民族・宗教・障害・年齢・国籍・退役軍人の地位・性的指向・ジェンダーまたはジェンダーのアイデンティティ。
●その他:
大きな決断や人々の生活の重要な側面に関連する話題。フィットネス・栄養・住居情報・大学の選択・職業選択や就職などもYMYLと見なされます。
低品質のYMYLページは、潜在的に人々の幸福・健康・経済的な安定や安全に悪影響を及ぼす可能性が非常に高いため、YMYLページのページ品質評価基準は非常に高くなっています。
ちなみに、前回のガイドラインからの変更点としては下記のような点があります。
- 直近の影響に限らず、将来に影響する情報もYMYLに含める
- 特定の集団(人種・宗教・国籍・ジェンダーなど)を追記
- 大学選択・職業選択・防災・フィットネス・栄養などを追記
この意図を読み取ると、現時点で発生する問題ではなくても、将来的に影響する情報(例:進学や職業の選択、防災、栄養やフィットネスなど)はYMYLに含めるということですよね。
別の見方をすると、YMYL領域が拡大している、さらに今後も拡大する可能性があるとも考えられます。
さらに昨今の世界的な情勢をふまえ、人種・宗教・ジェンダーなどの誹謗中傷やヘイトスピーチなどに対する配慮などが読み取れます。
ガイドラインを鵜呑みにするだけではダメ!
YMYLについては、基本的にはこの「検索品質評価ガイドライン」をよく読み込み、意図を理解することが大切です。
意図を理解するとは、ガイドライン上に記載されている具体的なジャンル名だけを見て判断するのではダメだということ。
ここで述べられているのはあくまで具体例であり、かつとてもあいまいな線引きでしかありません。
ガイドラインに書かれていないものでも「人々のお金や生活に重大な影響がある」ジャンルであれば、それはYMYLに該当する可能性が高いのです。
また、実際に記事が飛んだ(順位が大幅に下落した)と報告のあるジャンルは徐々に増えています。
つまりYMYLジャンルは少しずつ広がっており、今は大丈夫でもずっと安泰ではないということです。
これ以外のYMYLジャンルの判別方法は?
ガイドラインを読み解く以外に、そのジャンル(もしくはキーワード)がYMYLにあたるかを判別する方法はないのでしょうか?
…画期的なものはないですが、僕が見聞きした中では下記のような方法が参考になると思います。
実際に検索結果を見てみる
もっとも手っ取り早いのは、実際にそのキーワードで検索をしてみることです。
検索結果ページ(SERPs)を見て、検索上位(たとえば上位20位以内など)に個人が運営するブログやアフィリエイトサイトがあるかどうかを確認してみましょう。
そこに掲載されているのが企業・法人メディア、公式サイト、大手メディア、官公庁や自治体などの公的機関、新聞社や出版社、医療機関などで占められているようであれば…
これはYMYLである可能性がとても高いといえます。
法律が存在するジャンル
法律が存在するジャンルも、YMYLに該当する可能性がとても高いといえます。
たとえばYMYLに該当すると明言されているお金・医療・薬・美容などは、そのもの自体に関する法律が多数存在します。
逆にYMYLに該当しない趣味・エンターテイメントなどは、そのものに関する法律は存在しないですよね。
なぜ法律や法令が存在するのかというと、それは人々の生活に重大な影響を及ぼすからです。
ちょっと精度の低い判別方法かもしれませんが… 方法の1つとして覚えておいてください。
ブロガー・アフィリエイターが注意すべきYMYL
YMYLの評価の導入は、多くの情報分野に影響し、さらにその領域を広めつつあります。
当然ながら私たちブロガー・アフィリエイターにも重大な影響が発生します。
この章では、とくにブログやアフィリエイトサイトを運営する際に注意すべき点について解説します。
ブログやアフィリエイトで見落としがちなYMYL
僕はコンサルやオンラインサロンなどで、数多くのブログやアフィリエイトサイトを見る機会がありますが、
残念なことにYMYLジャンルに対して竹槍で無謀な突撃を繰り返している方がいまだに多い印象です。
怖いのは無意識にYMYLジャンルの記事を書いてしまっている人。
YMYLの存在は知っているものの、自覚なしに書いてしまっているパターンです。
下記は実際に僕がよく見る事例ですので、自分が該当していないかをチェックしてみてください。
- 育児ブログで子供の病気について触れている
- 転職ブログでメンタルヘルスについて触れている
- 節約ブログで資産運用や投資について触れている
- グルメブログで栄養や成分について触れている
- 筋トレブログで身体の変化やプロテインの効果について触れている
…などなど。他にもたくさんあります。
すべてが100%YMYLに該当するわけではありませんが、YMYLと気付かずにYMYLに触れてしまっているパターンはとても多いので、
どこかの機会ですべての記事を見直し、該当の記載を削除したりリライトすることをおすすめいたします。
YMYLはドメイン全体に悪影響を与えるか?
YMYLジャンルは検索エンジンからの品質評価が厳しく、低品質と評価されると大幅に検索順位が下落してしまいます。
ここで気になるのが「YMYLフィルターは、その記事単体だけに影響するのか? それともドメイン全体に影響するのか?」という点ですよね。
YMYLに触れている記事だけが悪影響を受けるのであればそれほど気になりませんが、ドメイン全体が悪影響を受けるのであれば一大事です。
結論を書いてしまうと… これは明確にはわかりません。
SEOに詳しい人に聞いても、意見が真っ二つに分かれます。
「ドメイン全体には影響しない」という人もいれば、「ドメイン全体に影響する」という人もいるということですね。
ただ、個人的には「YMYLはドメイン全体に悪影響がある」と考えています。
ソースは自分。YMYLのアップデートで順位が下落してから、ドメイン全体で新規記事の順位の付きが悪くなっているため、たぶん影響を受けているのではないかなと。
たぶんですけどね。。
ブログ・アフィリエイトのYMYL対策は?
最後に、ブログやアフィリエイトにおけるYMYL対策について触れておきます。
YMYLには手を出さない
これを言っては元も子もないですが…
そもそもYMYLジャンルには手を出さないというのが、正直もっとも現実的な対策だと思います。
YMYLフィルターを避けるためにはE-A-T(専門性・権威性・信頼性)がとくに求められますが、そんなもの一朝一夕では手に入れられません。
美容・医療のアフィリエイトのために医師免許を取得してクリニックを開いたり…
ビットコインを売るためにフィンテックのベンチャーを起業したりなんて…
現実的ではないですよね。
これは極端な例ですが、専門家でも事業者でもない一個人がYMYLを正攻法で攻略するのは正直不可能と言わざるを得ません。
自分が事業者になる
すでにそれなりの資産やノウハウをもっている人であれば、自分がその分野の事業者になってしまうというのが、手っ取り早く現実的な方法だと思います。
事業者だからといって確実にSEO的な優位性が得られるわけではないですが、匿名の個人で運営するよりは圧倒的にSEOに強いメディアが作れるはずです。
SNSを使って集客する
「SEOが難しいなら、SNSで集客すればいいじゃない」というマリーアントワネット的な発想です。
もちろん成果がガンガン発生するくらいの集客を生むには、それ相応のフォロワー数が必要ですし簡単にはいきません。
ただ、実際にSNS経由で月数十万円レベルの収益を得ている人は決して少なくありません。
とくに美容系商品は高単価ですしInstagramなどのSNSでも売りやすい商品ですので、チャレンジする意味はあると思いますよ。
広告を使って集客する
リスティング広告(検索連動型広告)やSNS広告(Twitter広告・Instagram広告・FaceBook広告など)などの広告も、検索エンジンの影響を受けずに集客ができる手法です。
もちろん広告を出すにはお金がかかりますし、うまく運用するためには勉強が必要です。
ただ、自分が事業者になったりSNSで大量のフォロワーを集めることに比べて、お金を支払いすればすぐに集客ができるという点で、広告はとても便利な方法だとは思います。
コメント
コメント一覧 (6件)
はじめまして。
アドセンス審査につきまして
ご質問がございます。
お悩み解決プログ(仮題)
こちらはMYLYに相当するのでしょうか?
コメントありがとうござます!
お悩みの内容がわからないと何とも言えません。
お悩みの内容がYMYLに該当するならYMYLですね。
はじめまして。
受験勉強(予備校の選び方や、具体的な勉強法などを含む)についてブログを作ろうと思うのですが、これは教育のYMYLに該当してしまうのでしょうか。
もしそうであれば回避する具体例も教えて頂けるととてもありがたいです。
たぶんYMYLではないと思いますが、YMYLの該当範囲は日々変化し、広がっています。また、境界はあいまいなので、断言することはできません。
同じジャンルの中でも、キーワード毎に違うのが普通です。
一度ご自身のジャンルのキーワードをたくさん挙げてみて、実際の検索結果をチェックしてみるのがいいと思います。
ちなみに、簡単に回避する方法はありません。
その分野の事業を法人としてやるとか、学術的な論文をたくさん発表するとか、出版するとか、TVとか雑誌とかのメディアに数多く出演して知名度を上げるとか、E-E-A-Tを高めたるための施策を行うのがいいですが、難易度が高いものが多いですよね(もちろんこれらはとても重要だし、YMYLじゃなくてもやるべき)。
ただし、その難易度と手間暇を考えたら、YMYL分野自体を避けたほうが無難です。
はじめまして。
副業禁止の会社で働いていますが、収入アップしたくて研究をしています。
いろんなサイトをみましたが、マクサンが一番わかりやすく、現実を教えていただける誠実なサイトだと思いました。
ブログを始める予定ですが、私が働いている分野が、介護(ケアマネジャー)であり、ズバリYMYLです。
仕事一筋で他の分野には精通しておらず。。。
このまま、厳しい道のりになることを覚悟でYMYLにまい進するか、新しい分野を一から勉強するか悩んでいます。
やはり、YMYLは絶望的な未来しかありませんか?
たろうさん、コメントありがとうございます!
そうですね、個人でE-E-A-Tの対策をしないままYMYLの分野をやるということであれば、たろうさんの思っている10倍くらい険しい道のりになると思います。
であれば、今は興味や経験のない分野でも、YMYLと関係のない分野で勉強しながらブログを作っていったほうが効率は良いと思います。
もしくは、自分で介護系のサービスの事業者(法人)となってしまうという手もあります。
介護にまつわる本を出版したり、SNSでフォロワーを10万人増やしたり、TVや雑誌などにたくさん出演する介護業界の有名人になれば、YMYLでもよいでしょう。
……と考えると、やはり前者のほうが簡単ですよね。